LOVE2 HOUSE
保坂猛

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床から天井までの窓がついたLOVE2 HOUSE

LOVE2 HOUSE
保坂猛

“贅沢とは床面積の大きさではなく、いかにクライアントの要求を満たし、優先順位を反映した家であるかです。”
保坂猛 (建築家/大学准教授)

読了時間:5分

設計:保坂猛建築都市設計事務所  

保坂猛は著名な建築家であり、早稲田大学の准教授でもあります。彼の作る家は、空間を斬新に利用しつつ、住む人のニーズに合わせて設計されており、コンパクトラグジュアリーの原則を体現しています。彼が、自身と妻のために設計したLOVE2 HOUSEでは、この原則が極限まで追求されています。 

東京にある18 ㎡のLOVE2 HOUSEの外観

建築家による、生活様式としてのコンパクトラグジュアリー


建築家の保坂猛は、コンパクトラグジュアリーの原則を仕事で応用するだけでなく、LOVE2HOUSEで彼の「クライアント」である妻と一緒に、日々の暮らしを通して実践しています。この家はわずか31.4 ㎡の敷地に建てられています。当初、保坂氏は床面積36 ㎡の2階建て住居を想定していましたが、妻には別の考えがありました。彼女は、江戸時代には4人家族であれば10㎡の家で十分だと考えられていたことを知り、夫婦一組なら18㎡の1階建ての家で十分ではないかと考えたのです。
湾曲した屋根と天窓のあるLOVE2 HOUSE

エレメントにこだわる


LOVE2 HOUSEは、持ち主にコンパクトラグジュアリーの核である「パーソナルな満足感」を与えてくれます。保坂氏は「風、陽の光、人など、自然の要素を感じること」を最優先させ、それをこの小さな家に巧みに取り入れました。そして、彼は太陽光のシミュレーションにより、LOVE2 HOUSEの敷地には、1年のうち3か月は直射日光が当たらないということを発見したのです。
「その結果、空に向かって開く2枚の湾曲した屋根のデザインが生まれました」と彼は言います。「冬には天窓から北欧のような柔らかな天空光が差し込み、夏にはまるで南国のような燦々とした太陽光が家の中に満ち溢れます。天窓からは空の色、日差しのニュアンス、雲の形など、絶え間ない変化を楽しむことができます。」 
LOVE2 HOUSEのダイニングと庭への入口

自然と環境につながる


LOVE2 HOUSEにはシャワー付きの屋外バスがあるため、入浴中も自然を楽しむことができます。そして、もう一つの優先事項である人々との交流を重視して、家の正面には床から天井まで届く窓を設けました。「プライバシーを守れるかどうか心配でした」と、保坂氏は認めています。「しかし実際には、これは素晴らしいアイデアでした。この窓のおかげで、近所の人たちとのコミュニケーションがスムーズになり、コミュニティに溶け込むことができました。窓を全開にしておくと、通りがかりの人が気軽に話しかけてくれます。まるで古くからの友人のようです。子供たちは物珍し気に家の中を覗き込んできます。ダイニングルームから散歩中の犬を撫でることもあります。」
個人にとってのコンパクトラグジュアリーを完璧に反映するLOVE2 HOUSE。

ラグジュアリーへの独自のアプローチ


保坂氏のコンパクトラグジュアリーへのアプローチは、歌人である鴨長明 (1155-1216) の草庵や古代ローマのヴィラなどから影響を受けています。「理想のヴィラには、生活を構成する5つの要素が含まれていなければならないと考えられていました。学問、入浴、演劇、音楽、美食です。それと同じ5つの要素を、私はこの小さな家に取り入れることに決めました。」音楽の要素として、彼はレコードコレクションの音を伝播させる「美しいコンクリート壁」を作りました。このようにLOVE2 HOUSEでは、1平方メートルどろこか1ミリ単位で細部にこだわり、「クライアント」である妻と自分がそれぞれの立場で充実した人生を送るための最適な条件が整えられています。これ以上の贅沢があるでしょうか?
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