ラグジュアリーホテルとしては新しいものの、既にサンパウロの名所として人々を惹きつける「ローズウッド サンパウロ」 (Rosewood São Paulo)。実業家のアレクサンドル・アラールの指揮のもと、建築にはプリツカー受賞者の建築家ジャン・ヌーヴェルを、そして舞台芸術としてのインテリアデザインにはフィリップ・スタルクを起用するなど、世界の巨匠たちが結集した「ローズウッド サンパウロ」は、いわばブラジルへの熱いラブレターです。このホテルは、3万㎡もの敷地に歴史的建築物が残る「シダージ・マタラーゾ」という名の広大な複合施設の中心にあります。以前は「マタラーゾ病院」として利用されてきたこの建物が入ったエリアは、ブラジル最大のアップサイクルプロジェクトになると考えられています。
ジャン・ヌーヴェルは病院の歴史的建物は残しつつ、「庭園タワー棟」を増設するなど新しい要素も取り入れました。160の客室のほか、保有も可能な100室のスイートを用意したこのタワーは、周囲の高層建築の中に緑の垣根のような存在感を漂わせています。インテリアデザインを担当したフィリップ・スタルクは地元の作家や職人を大勢招き、サンパウロでも有数の、オリジナル作品が集まる場所として完成させました。
その土地の個性をホテルのアイデンティティに織り込む、 „Sense of Place®-“ と名づけたローズウッドホテルグループの哲学に沿って、ローズウッド サンパウロのデザインはブラジルという土地から着想を得ています。スタルクは、ローズウッドグループがこのホテルにおける一世一代のアートプロジェクトとして依頼した57名ものブラジル人作家および職人からなるグループと協働することとなりました。示された指針はただ1つ、生み出される作品は過去に敬意を払い、かつ未来を示唆するものであること。こうして彼らはグラフィティをヒントにした絵から地元の野生動物をモチーフにしたカーペットに至るまで、450を超える作品を仕上げたのです。
寝室に入ったゲストの目に入ってくるのは、美しく磨かれた木材とふんだんに使用された高級素材。白い大理石を使ったバスルームは、温かみのある木のアクセントとブラッシュドブロンズのアクサースタルクコレクションで完璧な仕上がり。
素朴な井戸のポンプにヒントを得たアクサースタルクは、過去と未来を調和させるというホテルの美的ニーズにぴったりの作品です。流量はアクサースタルク洗面水栓に内蔵した極細カートリッジが制御する機能面だけではなく、ピンハンドルデザインがローズウッド サンパウロの知的で控えめな印象を表現しています。バスタブには、素朴なフォルムという概念がスリムなフリースタンディング型水栓として表され、 アクサースタルクサーモスタットとバトンハンドシャワーがアクセントを添えています。仕上げはブラッシュドブロンズでまとめられ、スタルクはゲストが心から安らげる空間となるようなエレガントなカラーパレットを作り上げました。